売上目標達成のための活動計画
売上確保のために
活動計画を立てる
売上が目標に到達していない場合、まずは方針通りの活動ができているかを確認します。活動量が確保されていなければそれを徹底します。確保されていれば、営業の質や商品・サービスの質に問題があることになります。その時は、営業方法を変えたり、商品やサービスを変える取り組みが必要です。しかしこれには時間がかかり、短期間では結果が出ないため、思い切って目先の数字はあきらめることも必要です。そして3ヶ月先のマイルストーンを置いて活動計画を立て、着実に実践していくのです。取り組む内容によっては3ヶ月では済まず、半年かかるものもありますが、目先の数字を捨てることにより、常に先を見据えての取り組みで3ヵ月後あるいは6ヶ月後の目標達成が確実に見えてくるのです。
(1)経営目標、体質強化を支える活動計画(アクションプラン)
- 新規顧客獲得件数
- フェア・イベント回数
- クレーム減少件数
- 研修回数
(2)攻めの活動計画
活動計画(アクションプラン)のうち、「攻め」の計画では、売上目標を達成させるための新規顧客獲得件数や、新規顧客獲得のための新しい出会いを作るフェアなどのイベント回数計画を立てていきます。新規顧客獲得なくしては企業の発展・成長はありません。
(3)守りの活動計画
一方で、既存顧客を守るための活動計画を立てていきます。顧客を失う最大の要因であるクレームを減少させる取組みということになります。
クレームの多くは、担当者の「無知」「失念」「思い込み」や、組織として「責任者不在」「確認不足」などが主な原因です。これらを改善するために、担当者のレベルアップのための研修回数を設定し、体質強化を図る。経営目標の達成、体質強化のため、これらの取り組みは、一定量以上の件数を継続的に行っていくことが重要です。
活動計画で必要な
活動量を確認する
前述の通り、売上は活動の量と質によって決まります。目標を設定した段階で、売上確保のために必要な活動量は決まってきます。必要な活動量は「活動計画」を立てるとおのずとわかってきます。
- 既存顧客に対するアクション
- 新規顧客に対するアクション
- クレーム減少のためのアクション
(1)既存顧客に対するアクション
既存顧客に対しては従来通り取引が継続できるかどうかがポイントとなります。既存顧客を守れずして、その年度の業績達成は不可能です。
既存顧客を守るために、顧客を取り巻く環境を把握し、相手のニーズを的確に捉え、ライバル企業の動きを察知し、顧客の課題を解決する商品・サービスの提案をして顧客シェアを高める一方で、顧客との取引がなくなる最大の原因である顧客のクレームの減少を図っていきます。
(2)新規顧客に対するアクション
今年度新規顧客による増収をどれだけ見込むのか、その増収部分を商品やサービス単価で割ると、何件の新規開拓が必要なのか、おのずと見えてきます。
見込み客が全て自社の顧客となるとは限りません。例えば、見込み客の中で顧客となる確率が10%であれば、20件の増客を確保するのに、200件の見込み客が必要になるし、もし見込み客が100件しかないのであれば、100件の新しい出会いを作るためのイベント回数、営業の量を設定していきます。
(3)クレーム減少のためのアクション
「企業経営にクレームのない経営はない」とよくいわれます。いくらチェック体制を強化し、手を尽くしても出てくるのがクレームです。だからといって放置できるものではありません。クレーム撲滅に対しては飽くなき挑戦を続けなければなりません。そして、クレームの処理を通じて経営のヒントを得、企業の体質強化を図るべきです。そのために重要なのがクレームに対する処理です。
クレーム処理のポイント
- クレーム処理は、すべての業務に最優先
- 絶対に言い訳をしてはならない
- クレーム処理には費用と時間を一切無視
- クレーム自体の責任は一切問わない
クレームが発生した時は、何を差し置いても最優先に処理に当たります。顧客はとにかく自社に対して大きな不満を持っている訳ですから、クレームとなった事実をお詫びし、誠実な対応をすることです。また、この時には決して言い訳から入らないことが重要です。言い訳は、不満を持っている顧客に対して、正に「火に油を注ぐ」ことになってしまいます。
また、クレーム処理にはとにかく迅速さが求められますので、処理にかかる費用や時間は一切無視し、顧客の満足だけを考えます。そして、原因を徹底的に追究し、今後どのような形で再発防止をするかを説明します。顧客はスピーディーなクレーム処理に誠意を感じ、逆に信頼を勝ち取ることができます。
(参考:『社長の販売学』一倉定著 産能大学出版部)
顧客別の活動ポイント
以上見てきたように、売上確保に必要な活動量は事前に決まってきます。それだけに、「先送り」したり、「省略」したりすると、必ず計画倒れになります。売上確保のためにはやってはいけないことです。
ここでいう「必要な活動量」をまとめると、以下のようになります。
- 確定顧客への担当者の配置と提案活動
- 潜在顧客への営業の配置とイベント活動
- 不確定顧客へのリサーチとトライアル
- 将来の戦略の立案と新商品
- サービスの開発
(1)確定顧客への担当者の配置と提案活動
「確定顧客」とは、自社の顧客になっている先であり、顧客満足度を上げるために、適任と思われる担当者の配置や、顧客の利益を上げるための提案をしていきます。
自社が提供している商品・サービスが、顧客にとってどのような位置付けで、どう貢献しているのかということを分析し、顧客の「ニーズ」「ウォンツ」を把握して、自社が提供し貢献できる商品・サービスを提案していきます。
(2)潜在顧客への営業マンの配置とイベント活動
潜在顧客とは、「ニーズはある」という仮説のもとに取り組みを行い、自社の顧客にしていこうという顧客予備軍のことです。
潜在顧客を確定顧客にしていくための取り組みとしては、新しい出会いの場を作る事が必要となります。たとえば、フェアなどのイベントの開催により「ウォンツ」を顕在化したものにしていき、その後の営業によって真の「ニーズ」を探っていきます。
そのために必要な経営資源としては、情報収集を行い、イベントの企画と実行を行うための「人材(ヒト)」=営業マンです。
(3)不確定顧客へのリサーチとトライアル
不確定顧客とは、ニーズもはっきりしない、自社としてマーケットも確立していない先のことです。
不確定顧客に対しては、まず様々な情報収集を行い、仮説を立て、実際のマーケットにリサーチを掛けていくことになります。何度となく自社の商品の売り込みをトライアルし、その上で仮説の検証を繰り返していきます。
(4)将来の戦略の立案と新商品・サービスの開発
どの企業においても、事業の柱をいくつか持つことが重要であることは前述の通りですが、柱が確立しても、いつまでも同じ商品・サービスで企業を維持・繁栄させていくことは難しく、新たな商品やサービスの開発が必要になってきます。なぜならば、時代の変化や経済の変化によって、顧客の「ニーズ」も「ウォンツ」も変わってくるからです。
そこで重要となるのが、自社が将来においてどのような戦略を持つか、ということになります。戦略のない企業に成長・発展はなく、この戦略立案こそが企業繁栄にとっての最重要項目となります。
ここで立てられた戦略に基づいて、新たな商品・サービスを開発していくことになります。
売上高増加のためにやるべきことが決まったら、まず項目ごとに毎月のアクションプラン(活動計画)に落とし込みます。
いくら方針が決まっても、「誰が」「何を」「いつまでに」「どのようにして」行うのかを明確にしなければ、責任者不在となってしまいます。
最大のポイントは「決めたことは徹底して行うこと」です。そこには一切の妥協も許されません。やるべきことをやって、もしダメであればやり方に問題がないかを点検します。やり方に問題がなければそれは「やるべきこと」が間違っているということになります。その場合は、もう一度市場や顧客、同業他社の状況を確認して、戦略や戦術を練り直します。