(単位:千円)
年度 | 売上高 | 経常利益 |
---|---|---|
平成18年 1月期 |
1,212,560 | 9,332 |
中期損益計算書作成における最初の作業は中期売上目標の設定です。
中期損益計画書の作成の手順は下記のとおりです。
利益の先行指標としてまず売上高があります。ここでは中期経営ビジョンで立てた売上高の妥当性を確認し、より細かい売上高計画を立てます。ビジョンで掲げた売上高と検討した結果、実現可能性のある売上高との間に大きな乖離があるときには、再度ビジョンを検討する必要があります。到達しそうもない売上高をビジョンとして掲げたまま、計画が「画餅」になってしまうケースは少なくないからです。
まず、自社の販売実績の分析、販売環境の確認を行います。
これらは、いずれも売上高のみでなく、粗利益まで含めて予算との差異を把握、原因を探り、次期の予算編成に活かします。
景気動向、為替変動、業界・他社の動き等、次期の売上に影響を与える要因について分析し、これらの要因に対する対応を予算編成に組み込む。
売上高計画は売上金額だけでなく、販売数量も併せて考えます。仕入・生産計画を立案するためには、数量計画が基本となるためです。
売上高予算を積み上げる際には、以下の3つがポイントです。
成長戦略で触れたように、企業が売上を伸ばし成長するためには4つの戦略がありますが、中小企業にとって、新商品や新サービスを開発したり、新規事業への進出をするのは時間もコストもかかります。したがって、中小企業が最短距離で売上を確保するには、拠点や店舗を増やす、すなわち市場を拡大していくのがベストな選択といえます。
そこで、売上高予算を達成するために、現在の拠点を何拠点にするのか、また店舗数をどうするのかを設定します。
さらに、拠点展開や店舗展開により新規取引先を何社増加させるのかを計画します。
中期経営目標
前期実績
(単位:千円)
年度 | 売上高 | 経常利益 |
---|---|---|
平成18年 1月期 |
1,212,560 | 9,332 |
中期売上高計画
(単位:千円、%)
年度 | 売上高目標 | 増加率 |
---|---|---|
平成19年 1月期 |
1,020,000 | -15.9% |
平成20年 1月期 |
1,100,000 | -9.3% |
平成21年 1月期 |
1,200,000 | -1.0% |
中期経常利益計画
(単位:千円、%)
年度 | 経常利益目標 | 増加率 |
---|---|---|
平成19年 1月期 |
4,350 | -53.4% |
平成20年 1月期 |
109,112 | 1069.2% |
平成21年 1月期 |
194,115 | 1980.1% |
前期実績
(単位:ヶ所・件)
年度 | 拠点・店舗数 | 取引先数 |
---|---|---|
平成18年 1月期 |
89ヶ所 |
中期計画
年度 | 新規拠点・店舗数目標 | 拠点・店舗数 |
---|---|---|
平成19年 1月期 |
6ヶ所 | 95ヶ所 |
平成20年 1月期 |
10ヶ所 | 105ヶ所 |
平成21年 1月期 |
10ヶ所 | 115ヶ所 |
年度 | 新規取引先獲得目標 | 取引先数合計 |
---|---|---|
平成19年 1月期 |
7件 | 7件 |
平成20年 1月期 |
6件 | 13件 |
平成21年 1月期 |
10件 | 23件 |
販売会社における商品仕入予算は、売上高予算をもとに在庫増減を加味して立てます。この場合、仕入予算の設定は商品群別に立てることが原則です。
メーカーにおける生産計画では、販売数量計画をもとにして生産数量計画を立てます。すなわち、販売数量に在庫増減を加味して出荷数量を算出し、これをもとに生産数量を計画します。
こうして計算された生産数量は生産完了の数量ですので、生産計画は、生産のリードタイムを考慮しなければなりません。なお、生産計画も製品別あるいは製品群別に設定することが原則です。
材料費予算については、製品(群)ごとの原価構成から材料費比率を捉え、これを売上原価に乗じて材料費と外注費予算を算出します。
外注費については、自社で加工できない業務を外注に依頼しているような場合には、材料費と同様の考え方で外注費比率を用いて予算を立てます。これに対して、社内の加工工数の不足分を外注に依存しているような場合には、社内の加工高を予測し、これから外注加工高を計画します。
製造経費については、経費科目別に内容を吟味して予算を立てます。変動的要素の強い科目については、製品単位当たりの使用量、単価などを勘案して計画します。
固定的要素の強い科目については、科目内容を良く分析し、費目毎に設定します。
前期実績
(単位:千円、%)
年度 | 変動費実績 | 変動費率 | |
---|---|---|---|
平成18年 1月期 |
商品仕入 | 813,485 | 67.1% |
材料費 | 0 | 0.0% | |
外注費 | 4,758 | 0.4% | |
その他 | 12,107 | 1.0% | |
合計 | 830.350 | 68.5% |
中期計画
(単位:千円、%)
年度 | 変動費 内訳 |
変動費率 | 変動費 計画 |
---|---|---|---|
平成19年1月期 | 商品仕入 | 67.2% | 685,000 |
材料費 | 0.0% | 0 | |
外注費 | 0.3% | 3,500 | |
その他 | 0.9% | 9,200 | |
合計 | 68.4% | 697,700 | |
平成20年1月期 | 商品仕入 | 59.4% | 653,400 |
材料費 | 0.0% | 0 | |
外注費 | 0.3% | 2,900 | |
その他 | 0.8% | 8,400 | |
合計 | 60.4% | 664,700 | |
平成21年1月期 | 商品仕入 | 55.4% | 665,000 |
材料費 | 0.0% | 0 | |
外注費 | 0.5% | 6,000 | |
その他 | 0.7% | 8,400 | |
合計 | 56.6% | 679,400 |
固定費を削減すると、損益分岐点が下がり、利益の出やすい構造となります。また、固定費は放置すると必ず増大するため、大幅な売上の増加を望めない今日の環境下においては、固定費の削減により売上高や限界利益にふさわしい固定費構造に変えることが欠かせません。
しかし、むやみに固定費を削減することは、企業の成長力までも奪い取ってしまう危険性があります。固定費の本質は「限界利益を生み出すためのコスト」です。つまり、固定費を有効に活用して、限界利益を向上させることが本筋です。
こうした観点から、現在の固定費が本当の限界利益向上に貢献しているかどうかを判断し、膨張した部分はカットする一方、必要な経費を予算組みすることが必要です。
固定費計画を立てる際、ゼロベースの考え方で取り組むことが大切です。このゼロベースという考え方は、過去の実績等にとらわれることなく予算を組むということで、利益への貢献の有無により予算を考えるということでもあります。よって、過去に実績があっても、今後の利益に貢献しないものは原則として予算化しないことになります。
また、予算を削減する場合であっても、一律10%カットという決め方をしてはいけません。この方法は根拠がない削減方法なので、実現可能性が低くなるだけでなく、もっと削減できるものが放置されていたり、逆に必要なものが削減されて業務推進に支障をきたすということにもなりかねないからです。
前期実績
年度 | 役職 | 人数 | 合計 |
---|---|---|---|
平成18年1月期 | 役員 | 4 | 74名 |
正社員 | 18 | ||
準社員 | 36 | ||
パート他 | 16 |
中期人員計画
(単位:千円、%)
年度 | 役職 | 人数 | 合計 |
---|---|---|---|
平成19年1月期 | 役員 | 4 | 67名 |
正社員 | 15 | ||
準社員 | 32 | ||
パート他 | 16 | ||
平成20年1月期 | 役員 | 4 | 68名 |
正社員 | 16 | ||
準社員 | 32 | ||
パート他 | 16 | ||
平成21年1月期 | 役員 | 4 | 68名 |
正社員 | 16 | ||
準社員 | 32 | ||
パート他 | 16 |
前期実績
年度 | 人件費 科目 |
人件費 実績 |
労働 分配率 |
---|---|---|---|
平成18年1月期 | 役員報酬 | 32,770 | 69.2% |
給与手当 | 139,703 | ||
雑給 | 29,987 | ||
賞与 | 9,520 | ||
退職金 | 0 | ||
法定福利費 | 23,268 | ||
福利厚生費 | 3,288 | ||
その他人件費 | 25,674 | ||
合計 | 264,300 |
中期人件費計画
(単位:千円、%)
年度 | 人件費 科目 |
人件費 実績 |
労働 分配率 |
---|---|---|---|
平成19年 1月期 |
役員報酬 | 33,200 | 78.8% |
給与手当 | 128,200 | ||
雑給 | 26,000 | ||
賞与 | 7,600 | ||
退職金 | 0 | ||
法定福利費 | 22,000 | ||
福利厚生費 | 2,700 | ||
その他人件費 | 18,000 | ||
合計 | 237,700 | ||
平成20年 1月期 |
役員報酬 | 30,600 | 51.4% |
給与手当 | 124,400 | ||
雑給 | 21,395 | ||
賞与 | 7,900 | ||
退職金 | 0 | ||
法定福利費 | 23,260 | ||
福利厚生費 | 2,530 | ||
その他人件費 | 13,630 | ||
合計 | 223,715 | ||
平成21年 1月期 |
役員報酬 | 30,600 | 43.0% |
給与手当 | 124,400 | ||
雑給 | 21,395 | ||
賞与 | 7,900 | ||
退職金 | 0 | ||
法定福利費 | 23,260 | ||
福利厚生費 | 2,530 | ||
その他人件費 | 13,630 | ||
合計 | 223,715 |
利益目標における数値は、十分な分析及び検討の結果、設定された根拠のあるものでなければなりません。単なる希望数値であったり、恣意的に設定されたものであっては何の意味も持ちません。そしてその数値は具体的な活動計画に裏付けられ、実行可能な数値でなければなりません。
最も簡単な設定方法で、前年実績に対していくら、何%伸ばすのかという目標設定方法です。
1人当たりの生産効率(労働生産性)から全体利益を算出する方法。
競合する同業他社又は業界平均の利益と比較して、自社の利益を決定する方法。
売上高に対してどれくらいの利益を上げられるかの比率により決定する方法。
借入金の返済に必要とされる利益を計算します。
借入金の返済原資を確保するということは、資金繰り上から大きな課題であるために重視されることも多いのが、経営力との関連性に欠ける弱みを持ちます。
必要経常利益=(借入金返済額-減価償却費)/(1-実効税率)
必要(経常)利益算定シート
使用資本に必要とされる利益で、総資本に対する経常利益率あるいは営業利益率で表します。
企業は資本を使って利益を獲得する活動ですので、使っている資本額に応じて獲得すべき利益額が理論的に計算できます。
企業の使用資本には自己資本と他人資本があり、これらにはコストのかかるものとコストのかからないものがあります。資本構成を調べて、それぞれの資本に関わるコストや必要利益を計算し、これを合計して企業が獲得すべき利益を計算します。すなわち、調達した資本に関わるコスト分は必要利益として獲得すべしという考えです。これを「規範利益」といいます。
規範利益の求め方
B/S
運用 | 調達 |
---|---|
流動資産 | 買掛金・支払手形(資本コストなし) 借入金・割引手形×金利率=金融資本利子① |
固定資産 | 資本金×配当率=配当留保② (剰余金+資本金)×成長期待利益率=成長留保③ |
総資産 | 総資本×危険率=企業危険引当④ |
(②+③+④)×税率/(1-税率)=税金引当⑤
(規範営業利益=①+②+③+④+⑤)
規範経常利益=②+③+④+⑤
売上高:3,000,000千円 社員数:20人 卸売業
7,500千円+6,500千円+5,000千円+13,127千円=32,127千円
限界利益は、
売上高-変動費=限界利益
限界利益-固定費=経常利益
として捉えることができます。
したがって、固定費が一定であれば、限界利益が多いほど経常利益が多くなります。
限界利益の売上高に対する比率が限界利益率です。
実際の限界利益率の計画は、製品構成、製品群別、販売経路別、市場別などの限界利益率から算定します。
グループ毎に限界利益率が異なるものを、その売上構成を明らかにして全体の限界利益率測定に役立てようとするのが狙いですで、自社に応じた分類をとります。
売上高から変動費と固定費(営業外収益含む)を差し引いて算出した経常利益と、目標利益との差がなければ、損益計画に展開します。
もし、設定した経常利益の方が少なければ、固定費の見直し、変動費の見直し、売上高の見直しを行って目標利益に近づけます。
それでも目標利益に至らない場合は、目標利益の設定を見直すことになります。
部門計画については、部門の規模にもよりどこまで詳細に策定するかは企業によりさまざまですが、以下の点は基本的な計画対象項目です。
イ)部門の今年度実績を予測する。予測は現在までの実績累計に残された期間の売上、原価等の予測を加えて算出するが、予測はできるだけ商品別、得意先別、営業担当者別など詳しく行うこと。これは翌年度の予算設定にもこうした分類毎に予算設定をする必要があるからである。
ロ)現在のままで推移した場合の翌年度の実績を予測する。すなわちこのまま推移した場合にはどのくらいの実績があげられるか、成り行きでの予測を立てる。
ハ)全社損益計画を実現するために、自部門に求められる予算を想定し、これと②の翌年度の自部門の過去延長的な実績予測を比較して、不足する利益を見積もる。
二)不足利益を埋めるためにどのような対策が必要とされるかを検討し、この対策を遂行した場合に達成可能な予想利益を部門目標として設定する。
部門中期計画は全社の中期経営計画を部門レベルで展開するための具体化計画でもあります。自部門の計画の推進状況や問題点などを振り返り、これを中期の方針や目標設定に活かさなければなりません。
部門方針策定のステップは次のとおりです。
イ)翌年度全社方針を自部門としてはどのように取り組むか、全社方針の1つひとつについてその方針を明らかにする。
ロ)今年度の自部門方針および施策のうち、十分な成果があったもの、不十分な成果しか得られなかったものを整理し、できなかったものはその原因を追究する。
ハ)現在の自部門が抱えている問題点を整理し、この改善のための対策を検討する。
二)全社方針との整合性、自部門の課題、自部門の損益計画を勘案して、自部門の貸借計画、CF計画、設備計画、販売計画、生産計画、在庫計画、原価計画、人員計画等具体的に策定する。
計画は実施されて始めて意味を持ちます。したがって、計画を立てたら、それぞれの項目ごとに管理責任者・推進責任者と期限を決める必要があります。
これを決めないと、計画はあっても誰も実施しようとせず、責任者不在の無責任集団と化してしまいます。
管理責任者は、推進責任者にその計画の目的やゴールを明示して、イメージさせなければなりません。その上で、推進責任者にどうやってその計画通りに進めて行くのか、どうやってゴールまで辿り着くのかを考えさせます。そうしないと、きちんとやっているように見えても、目的を履き違えて向かっているゴールが違っていた、ということになりかねません。
推進責任者は、目的とゴールをしっかりと理解をして、計画遂行にあたります。その進捗状況は常に管理責任者に報告をして、進んでいる方向が間違っていないか、やり方が間違っていないかを管理責任者と共に確認します。
また、期限をきちんと設定して進めることも重要です。経営のスピードが求められる今日において、一歩遅れることが大きな機会ロスとなったり、損失となってしまうこともあります。
それぞれの個別計画が出来たら、全てを同時進行するのではなく、優先順位を付けて、優先順位の高いものから着手します。
その際、緊急度と重要度のマトリクスを作成して整理すると分かりやすくなります。これを基にスケジュールを作成し粛々と計画を遂行していきます。
当サイトでは、PDFドキュメントを使用しています。
PDFドキュメントをご覧いただくためには、Acrobat Readerなどの閲覧ソフトが必要です。
Adobe Acrobat Reader DC(無料)をダウンロード
© みどり合同税理士法人グループ