中期資金計画の立て方
1.固定資金計画を立てる
固定資金計画は、「計画貸借対照表」で計算した固定資産の計画年度の購入額や投資金額、年間長期借入金の返済額等を把握し、必要資金をどのように調達するか、どのような資金源泉によって賄われるかという視点で立てられるものです。
固定資金の調達は、下記の3つの源泉に区分されます。
- 自己金融(純利益及び内部留保)
- 資本金
- 固定負債
このうち最も望ましいのは、コストが不要な自己金融による調達です。
自己金融とは、利益準備金、任意積立金、次期繰越金、減価償却費、引当金の積み増し分等企業が事業活動で獲得した資本の増加分を指します。
この自己金融によって固定資金が調達され、その余剰分が流動資産の増加や短期借入金の返済に充当されれば、資金計画としては最も好ましい形になります。一方、運転資金が固定資金の調達源泉となることは運転資金不足を招き、資金繰りを不安定にさせるので避けるべきです。
2.運転資金計画を立てる
運転資金計画は、資金運用表の構造を応用して、流動資産と流動負債の各項目の増減を算出し、これを資金の増減という観点にたって立てられるものです。
目的は、流動資産と流動負債の各項目の回転率から所要運転資金を導き出し、当期に必要とする運転資金の総額を把握し、その調達を検討することにあります。
3.予想キャッシュフロー計算書を作成する
中期損益計画、中期計画貸借対照表、資金計画(固定資金計画、運転資金計画)が固まれば、予想キャッシュフロー計算書を作成することができます。
キャッシュフロー計算書は、資金計画のひとつであり、予想キャッシュフロー計算書を作成し、次期に想定される資金活動を評価し、改善の余地や必要性があれば、改善策等を追加設定します。
以下の観点から予想キャッシュフロー計算書を評価します。
- 営業力を維持し、新規投資を行い借入金を返済し、配当金を支払うために、どの程度の資金を主たる営業活動から獲得することができるようになっているか。
- 将来の利益獲得、資産運用の効率化等のために、どの程度の資金が支出または回収されるようになっていて、それは妥当か。
- 営業活動及び投資活動を支えるために、どの程度の資金が調達または返済されるようになっていて、それは妥当か。
- 営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローを合計した後、「現金及び現金同等物」が前期末比どの程度増減するようになっている か。
なお、金融機関はキャッシュフロー計算書を重視するようになってきましたので、金融機関から資金調達する場合も、有効な資料となります。
中期キャッシュフロー計画
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