会社と個人事業主、どちらが有利?
個人事業か会社組織かを決めるポイントとしては、1.設立準備の手間、2.主要取引先は法人相手かどうか(クライアントが個人事業主と取引をすることに問題はないのか)、3.初年度の売上をどの程度見込んでいるのか、また、4.同僚がどのような立場(経営者の立場、労働者の立場)で協力するか、5.社会保険の加入などにより、どちらにすべきかを判断する必要があります。
独立するときに個人事業主で始めるか、それとも会社組織として始めるかですが、それぞれにメリット・デメリットがありますので、両者のメリット・デメリットを良く把握された上で、どちらかに決定すると良いと思われます。
まずは、個人事業主として独立した場合ですが、メリットとして考えられるのは、(1)開業するときの手間や費用が安く済むこと、(2)独立後の手間も少なくて済むことなどが考えられます。
個人事業で開業する場合、開業後1か月以内に、所轄税務署へ個人事業の開業届出書を提出することになります。したがって、いますぐにでも、気軽に事業を始めることが出来ます。独立後についても、経理処理は簡易帳簿での記帳が認められています。また、役員会などを開く必要がなく、決算報告書の作成義務がないなど、かなり自由度の高い経営が可能となります。
一方、デメリットとしては1.会社組織に比べて信用度が低くなりがちである、2.まとまった事業資金が集めづらい、などが考えられます。
個人事業の場合は、簡単に事業を始められる(資金面、手続面)だけに信用面に問題があるようです。たとえば、株式会社などのような法人との取引をメインに考えられているようですと、個人事業主とは取引をしないといった企業もあります。したがって、法人を相手にする商売なのか、個人顧客を相手に商売するのかによっても個人事業主にするか、会社組織にするかの判断基準になります。
法人組織を設立した場合ですが、メリットとしては、個人事業主に比べると比較的信用力は高くなります。個人の場合はその人の死をもって事業体が消滅いたしますが、会社(法人)では継続企業体が原則となっているからです。デメリットとしては、定款作成、認証手続き、設立登記申請手続きなど、諸手続があること等により、すぐに事業を行えないことがあげられます。
先ほどの個人事業主のデメリットの箇所でも触れましたが、一定の自己資金を持つことにより信用力は比較的高く、法人相手との取引をメインに考えられている場合には、法人組織にすることも考えられるでしょう。
税金面でもそれぞれ特徴があります。個人事業主で開業した場合には、儲けに対して累進課税と呼ばれる課税方法が適用になります。累進課税というのは、儲けが多ければ多いほど高い税率が掛けられる仕組みで、多くの儲けが出れば出るほど高い税金を払わなければなりません。一方、会社組織の場合には、儲けに対して一定の税率が掛けられますので、儲けが多くなっても累進課税のように高い税金を払う必要がありません。 このため、比較的売上が低い創業当初は、個人事業で開業し、その後売上が大きくなった段階で法人成り(個人事業から法人事業へ転換すること)するといったパターンも比較的多くみられます。
参考:「中小企業基盤整備機構」中小企業ビジネス支援サイト